羽毛の基礎知識

羽毛の基礎知識

【@羽毛の質の違い】
羽毛ふとんの詰め物には、グース(ガチョウ)とダック(アヒル)があります。
グースは野生のガンをダックは野生のカモを食用の家禽(かきん)としてそれぞれ改良したものです。
【Aグースとダウンを比較すると】
グースの方がダックよりも大きな鳥なので、ダウンボール(タンポポの綿毛のような球状の水鳥の胸毛)も大きくより多くの空気を含みます。またそれぞれのダウンの構造上の違いで、グースの方が羽毛同士が絡みにくくなっているため一つ一つのダウンが広がりますし、ダウンの羽枝・小羽枝も細くて柔らかいため布団に使った時に肌ざわりが良く体に大変フィットします。そのような点からグースの方がカサ高性・ドレープ性(=保温力)に優れているといえます。
【Bカサが高いという事は?!】
羽毛ふとんは、タンポポの綿毛のように球状に広がった羽毛(ダウン)の間に空気を溜めて空気の層を作ります。人間の体温によって空気の層が温められ、温かくなった空気が布団の中にとどまる事によって保温がなされます。
カサが高いという事は、より多くの空気が含まれているという事になりますので、同じ羽毛の量でダウンの比率も同じ場合なら(ダウン90%・スモールフェザー10%など)カサが高い布団の方が保温力が高い良質なダウンを使っているといえます。
【C羽毛のカラーと品質】
グースにもダックにも、白い色のものやグレーや茶色っぽい色のものがあります。
白い色の羽毛の方が人気があって、価格も高く設定されている商品が多いですが、品質の面からいえば色の違いで差はありません。側地から色が透けなかったり、清潔に見える事から白い羽毛が人気のある理由だと思います。
洗浄を重ねたからといって、色の付いた羽毛(グレーや茶色)が白くなるという事はありませんし、色が付いてるといって汚れていたり洗浄が不充分というわけではありません。
ちなみに、ダウンの中で最高級品といわれる高価なアイダーダックのダウンは茶色をしています。
【D産地による違い】
寒さが厳しい地域で飼育されたグースは、寒さから身を守る機能が発達して保温性に優れている事から価格の高い羽毛ふとんに多く使用されています。
ヨーロッパ産やカナダ産のグースはアジア産のものに比べて体が大きくダウンボールも大きいのでカサ高性に優れています。ハンガリー・ポーランド・フランスなどの東欧諸国とカナダが有名で、北緯45〜53度付近は品質の良いダウンが採れることから《ダウンベルト》と呼ばれています。
ダックは中国やアメリカなどで大量に飼育されていて、比較的に安価な商品に使用されています。

*同じ原産国のダウンでも、飼育された地域や飼育期間・飼育方法によって品質が大きく変わります。ダウンの原産国が同じなのに、色々な価格の商品があるのはこの為です。いちがいに原産国の表示だけで羽毛ふとんの品質を判断できないのが難しいところです。
【E採取方法による違い】
羽毛の集め方も、一羽一羽人間が手で羽毛を採取する手摘み(ハンドピック)と、機械で採取する機械刈り(マシンピック)があります丁寧に羽毛を扱う分、手摘みの方が羽毛を傷めません。そのため手摘みの羽毛で作った布団の方が、長年使用しても羽毛の切れが少ないのでいつまでもカサがあって温かく品質が持続します。
反面、羽毛の採取に手間がかかってしまいますので、その分布団の価格が高くなりがちです。
【F飼育期間による違い】
食肉用として飼育されているグースやダックから、副産物として採取されるのが布団などに使われている羽毛です。
食肉は若鳥の肉が人気がありますので、羽毛も成鳥になっていない若鳥の羽毛が大量に出回っています。若鳥の羽毛は、親鳥(マザーグース)に比べると成長が未熟なので、弾力性やカサ高性が不十分で保温力が劣ります。親鳥(マザーグース)から採れる羽毛は成熟していて弾力性・カサ高性共に十分で、卵を孵化させるほどの保温力を持っていますので大変温かいです。
ただ、飼育期間も長くなりその分経費もかかりますので、価格が高くなってしまいます。
鳥の種類や飼育環境も大切な事ですが、品質に最も影響を与えるのは飼育期間ともいえます。例えば、グースに比べて品質が劣ると言われているダックでも、十分に成長した親鳥から採取すれば、飼育期間の短いグースの若鳥から採取したダウンよりとっても優れた品質を持っている場合があります。

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